ありがとう 第2うめかハイツ 前編

長年住み慣れたこのアパートが、ついに取り壊されることになりました。

昨日、うちのエアコンの調子が悪かったので大家さんに電話してみると、お話があるから明日伺いますということに。 えっ、お話って何だろう?良からぬ想像が、あれこれと浮かんでは消えていきます。 とりあえず、大家さんの心証をできるだけ良くするために、部屋を徹底的に掃除して、ミーちゃんも一時退避させます。 さあ、後は大家さんを待つばかり。ハラハラ、ヒヤヒヤ、ドキドキ。あ、来た〜!

エアコンの調子を見てもらってから、切り出された話というのが、取り壊しの話だったんです。 このアパートの入居者は5名で、月の家賃収入は10万程度。 そのうち、6万円が電気代に消えていき、その他の固定資産税などを含めると、ほとんど採算が合わないんだとか。 家賃据え置き、引越し費用持ちで、別のより良いお部屋をお世話させていただきますという、とても有り難いお話でした。

願ってもない話に大喜びでしたが、その興奮が収まると、何だかとても寂しくなってきました。 このアパートはどうしようもないボロですが、波瀾万丈の思い出がぎっしり詰まっています。 それに、こんなに個性的で味のあるアパートなんて、そうあるものではありません。 というわけで、これまでの感謝の気持ちを込めて、このアパートの写真を撮ることにしました。

このアパートに入居したのは、ちょうど10年前の1998年の7月です。 大学院を休学することにして、学生寮を出なければならなくなり、近場でとにかく安い物件ということで見つけたのが、この四畳半でした。 家賃は1万2千円で、9畳の部屋を薄い板で仕切ったような造りで、隣の音が丸聞こえで、蛍光灯のひもを引く音まではっきり聞こえました。 初めての夜はとても心細くて、天井がとても高く感じたものです。 運良く、奥の部屋に友人が住んでいたのが、唯一の救いでした。

このアパートは、中国人の留学生が多かったので、まるで中国に引っ越したような気分でしたね。 隣の中国人が、夜中に鍵をなくしたといって騒いだ時は、いきなりうちの部屋に入ってきて、窓伝いで隣に移ろうとして揉み合いになったことがありました。 長い帰省から戻ってみると、電気メーターが異常に回ってたりということもあったっけ。 ハムスターのカゴにネズミが紛れ込んだこともあったなぁ。 明日の朝が早いのに、中国人達が夜中の3時まで大宴会してた時は、本当に腹が立ったなぁ。

そんなわけで、同じアパートの9畳の部屋が空いた時には、喜んで移ったのでした。

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