桜島を歩こう まとめ

今回の桜島一周ウォーキングは、とても良い経験になりました。

距離的にはたかだか36kmだし、いざとなればバスも走ってるし、フェリーも24時間営業なので、大したことはありません。 でも、桜島という生きた火山の周りを、自分の足でじっくりと歩いたというのは、とても大きな出来事でした。 これまでに、何度もサイクリングに来てはいましたが、自転車で走るのと歩くのとでは、まるで経験が異なりました。

一番強く感じたのは、噴火に対する恐怖です。 過去に一度、車で来た時に、大きな噴火に巻き込まれたことがあります。 大量の火山灰に囲まれて、1m先も見えない状態で、窓を閉め切った車内でも、火山性ガスの影響で頭が痛くなるほどでした。 運良く車に乗っていたから良かったものの、もしこれが歩いている最中だったらと思うと、ゾッとします。

サイクリングなら、せいぜい2時間もあれば一周してしまうので、さほど恐怖は感じません。 でも、ウォーキングだと、普通に歩いても9時間かかるので、それだけ危険は高くなります。 これまで、桜島=溶岩と単純に結びつけられていたものが、桜島=活火山として、その存在を高らかに主張し始めたのです。 対岸の市内から、桜島って雄大でいいよね〜、と呑気に話していたのは、大間違いでした。

桜島は、鹿児島の重要な観光名所ですが、それと同時に、とんでもない爆弾を抱えているわけです。 もちろん、過去の大噴火の話は知っていますし、桜島のあちこちにある案内板で、より詳しく知ることもできます。 でも、観光パンフレットで白黒写真を見ても、なんだか歴史の教科書を見てるみたいで、あんまり実感が湧かないんですよね。 でも、歩きながら灰にまみれ、灰を噛み締め、灰の匂いを嗅げば、今も桜島が活火山であることを痛感します。

ただ、活火山であるという部分だけに恐怖を感じたのかというと、そうではありません。 南側は、薩摩半島と大隅半島を結ぶ橋の役割もあって、交通量が多い割には歩道が狭く、車に対して恐怖を感じました。 東側では、大自然に対する畏怖を感じ、北側では、他所の集落での孤独を感じ、闇夜の恐怖も感じました。 自然に対して、文明に対して、どちらにも同じように恐怖を感じたのが、今回の一番の収穫でした。

自然というのは、ただ利用するためのものでもなければ、賛美するためのものでもありません。 文明にしても、便利になった反面、より危険も増しています。 楽に生きられるようになった一方で、簡単に死ねるようになった時代。 そんな時代の中で、自分の生を生きていくためには、こうした恐怖を感じることも必要なんじゃないかと思います。 肉体的な恐怖、精神的な恐怖、社会的な恐怖。 鈍った生存本能を刺激するには、悪くない方法だと思います。

これを機に、サイクリングだけじゃなく、もっといろんなところを歩いてみたくなりました。

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