桜島を歩こう 白浜〜赤生原編

桜島一周も、いよいよ最終回ですよ。

相変わらず人気の少ない道を、黙々と歩き続けます。 時刻は、もうすぐ午後6時になろうとしています。 黄色い夕焼けが、アスファルトの地面を照らします。 予定では、午後7時には終わってるはずだったのになぁ。 ふと気がつくと、これまでの撮影枚数は700枚以上。 1枚当たり10秒とすると、700枚で7,000秒、約2時間ほど余計に時間を使っていることになります。 ということは、フェリー乗り場には午後9時以降の到着になるのか。

長い山岳コースが終わり、人里に下りてくると、ホッと気持ちが緩みます。 そのせいか、急に足の痛みが増したように感じます。 泣いても笑っても、残り1/3だ。 普通に歩いていれば、そのうち着くさ。 すると、目の前に得体の知れないモニュメントが現れました。 その異様さにギョッとしましたが、どうやら漁の安全を願うための神社のようです。

白浜温泉センターの近くでは、やっと何人かの通行人の姿を見ることができました。 何だか、人の姿を見るのは、ずいぶん久し振りだなぁ。 でも、帰路に着く女の子の後ろ姿を見ていると、自分も早く家に帰りたくなってきました。 さっきまでうるさく鳴いていた鳥達も、今ではすっかりなりをひそめています。 心細さが、ギュウギュウと胸を締め付けます。

日は沈み、猛烈な勢いで闇が迫ってきます。 通行人はいなくなり、たまに自動車が猛烈なスピードで通り過ぎていきます。 街灯は少なく、足元もおぼつかないほどに暗くなってしまいました。 これはまずい。 身の危険を感じて、バッグから自転車用のLEDライトを取り出します。 万が一のために持ってきておいて良かったな。 もはや感度を最高に上げても撮影できなくなり、カメラもしまってしまいました。

慣れない土地で、真っ暗闇の中、ただ一人、黙々と歩き続けます。 どこかへ逃げ出したい気持ち。どこにも逃げられない現実。 できることは、ただ歩を前に進めることだけ。 赤生原の港から、鹿児島市の明かりが見えました。 よし、もうすぐだ! 痛む足に鞭打って、急ぎ足で歩きます。ラストスパート。 道を大きく左に曲がると、懐かしい桜島港が見えました。 やった!ついに帰ってきたぞ!

フェリーの椅子が、もう最高に気持ち良かったですよ。 良く頑張った、俺!

桜島を歩こう 黒神編

桜島の東側は、アップダウンの激しい山岳コースですよ。

最初の坂を上り切ると、そこには待ちに待った売店がありました。万歳! 店に入るなり、裏の展望台にどうぞと案内されます。 試食品の桜島大根の味噌漬けを食べながら裏に行くと、そこには埋没鳥居のレプリカがありました。 店のおばさんに、何か食べるものはないかと聞いてみましたが、ここもあるのは土産物ばかり。 仕方なく出発しようとしたら、お菓子を3つ分けてくれました。どうもありがとう!

坂を下ると、黒神中学校の横に、本物の埋没鳥居がありました。 例の大正3年の大噴火で、神社の鳥居が埋まってしまって、頭だけがちょこんと地面から顔を出しています。 その横の小屋には、中学生が作ったと思われるちょっとした展示もあって、なかなか良かったです。 その先には、埋没鳥居ならぬ埋没門柱も発見! この道は何度も通っていましたが、初めて気がつきました。

やっぱり、鳥居と門柱じゃ格が違うよなぁ、と思いつつ、先へ進みます。 車の通りが少なくなったのは有り難いんですが、それがそのまま集落の寂れ具合に影響しているようで、廃墟と化した店をいくつか見かけました。 休憩所のお爺さんの話では、北の集落は比較的裕福で、南の集落はどちらかというと貧しいということでしたが、東側はかなり過疎化が進んでいるようです。

山中に突如現れた謎の物体。モノリス?じゃなくて、建設中の陸橋の支柱です。 でも、こんなところに橋を作って、一体どうするつもりなんだろう? ただでさえ、車の通りが少ないのに。 辺りは静かで、波の音だけが響いています。 谷間からは海と一緒に、平べったい島と、古ぼけた建物が見えました。 やっと体が慣れてきたので、ずんずんと歩を進めていきます。

ちょっと天気が回復してきたところで、今度は廃墟と化したビニールハウスを発見! その横には、空き家となった家もありました。 過疎化が進んで、後継者がいないために、こうして荒れていく畑が多いそうです。 サイクリングではあまり感じませんでしたが、こうして歩いてみると、こうした負の部分を見ないわけにはいかなくなります。 日が傾いてきたのもあって、何だか寂しくなってしまいました。

次は、いよいよ最終回ですよ。

桜島を歩こう 有村〜桜島口編

ついつい休憩所で長居してしまったので、先を急ぎましょう。

桜島は、その昔、本当に島だったんですよ。 でも、大正3年の大噴火で、溶岩が流れ出して、大隅半島と地続きになってしまったんです。 ちょうどこの辺りは、その時の大正溶岩の様子を見ることができます。 ドロドロの溶岩が冷えて固まったんだな〜、というのが良くわかるでしょ? この日の桜島も、わずかに噴煙を上げていました。 いつかまた、かつてのように大噴火することがあるのでしょうか。

桜島のフェリー乗り場を午前9時過ぎに出発して、有村展望所に着いたのは午後1時。 ちょうど1/3なので、この調子だと歩き終えるのは午後9時になりそうです。 もっとペースを上げなきゃ。 でもまあ、とりあえずはお昼にしよう。 と思って食堂を見てみると、なんとシャッターが降りているではありませんか! 反対側の売店を覗いてみても、あるのは土産物ばかりです。これは困った!

仕方がないので、売店でびわを買うことにしました。 8個入り400円のをひとつ買おうとしたら、300円を2パックで500円にしてあげるよ、ということで、そちらに変更。 すると、さらに3個のおまけまでつけてくれました。 おばちゃん、どうもありがとう! 早速、空き地に腰を下ろして食べ始めます。 うん、甘くて瑞々しくて美味しい! まるで猿のように、あっという間に19個を完食してしまいました。

なんとかお腹も膨れたので、また歩き始めます。 しばらく歩くと、大隅半島と繋がっている桜島口が見えてきました。 ここを右に曲がると、垂水、鹿屋と、大隅半島を下っていきます。 このまま真っ直ぐ行くと、錦江湾をぐるっと回って、やがて鹿児島に戻ります。 桜島を一周するためには、少し先で左に曲がります。 ここから先は、車の通りがほとんどなくなるので、ぐっと歩きやすくなります。

とはいえ、すでにこの時点で、かなり足が悲鳴を上げています。 腰痛持ちなので、結構腰にもきています。 桜島一周は36kmなので、まだ10kmちょっとしか歩いてないんですが、すでに後悔の念が頭をよぎります。 その気持ちを表すかのように、次第に黒い雲が空を覆っていきます。 ストーンヘンジのような溶岩を横目に見つつ、無心で足を交互に運んでいきます。

さてはて、これから先、一体どうなるのでしょうか?

桜島を歩こう 東桜島〜古里編

桜島の徒歩の旅は、まだまだ始まったばかりですよ。

単調な溶岩道路を抜けて、やっと景色が変わってきたなぁ、と思っていると、「元祖 溶岩焼」の看板が見えてきました。 桜島溶岩加工センターの看板なんですが「桜島村おこし特産品・溶岩万能グリルプレート」というのが興味をそそられます。 普通の鉄板よりも、ずっとパワーがありそうです。 その先にある旅の駅 桜島には「マグマラーメン」の文字が。 おお、これは食べてみたい!

でも、お昼にはまだ早いので、どんどん先へ進みます。 すると、大きく「SABO」と書かれた立派な建物が見えてきました。 これは茶房じゃなくて、桜島国際火山砂防センターなんですよ。 無料の展示室もあるんですが、残念ながら月曜日は休館日でした。 砂防の文字を見たからか、目の前にはあの灰嵐が巻き上がっていました。 ああ、口の中がジャリジャリだ。カメラもギシギシいってるよ〜。

なんとか灰嵐の中をくぐり抜けると、民家の塀に立派な桜島のレリーフを発見しました。 横には、溶岩の塊も置いてあります。 う〜ん、これはお見事! 桜島がよっぽど好きなんだろうなぁ。 さらに先に行くと、びわの売り出しを発見。 あ、そういえば、今はちょうどびわの時期だよなぁ。 桜島は、小みかんだけじゃなくて、びわの産地でもあるんですよ。

桜島を歩いていると、あちこちに避難壕が設置されています。 噴火口を背にして、突然の噴火から歩行者を守ってくれます。 最近でも、5cmほどの岩が降ってくるらしいので、要注意ですね。 一方、海の方にも、番号の書かれたヘリポートみたいな場所を発見。 これは、避難港になっていて、いざという時には、桜島フェリーが総出で救出しにきてくれるそうです。

やってきました、古里温泉。 ここの露天風呂は有名ですが、実はまだ一度も入ったことがなかったりして。 南九州初の斜行エレベーターにも乗ってみたいなぁ。 ふるさと観光ホテルの横には、まちの駅ふるさとという無料休憩所がありました。 中に入ってみると、気さくなお爺さんが、いろんなお話をしてくださいました。 どうもありがとうございました!

これで、やっと1/4。桜島は続くよ、どこまでも。

桜島を歩こう 溶岩道路編

昨日は、桜島を歩いて一周してきましたよ。

というのも、どうも最近、気が抜けているというか、気分が浮ついているというか、ちょっと空回りしているような気がしてたんですよね。 よし、ここらでバシッと気合いを入れ直してやるか! というわけで、桜島一周を決意したわけです。 今まで、何度もサイクリングはしているんですが、一度じっくり歩いてみたいと思っていたので、ちょうど良い機会ですね。

桜島一周といえば、鹿児島大学のサークルなどで、夜中に桜島を一周する桜島夜間行軍という行事がありました。 友達からその話を聞いた時は、ずいぶん無茶なことをするもんだなぁ、と思っていましたが、今ではその意義が良くわかります。 桜島って、鹿児島人にとっては象徴的な存在なんですよね。 桜島を歩いてこそ、鹿児島人になれる、みたいな。 残念ながら、今では夜間行軍は行われていないようです。

まずは、真っ直ぐに伸びる溶岩道路を、ひたすら歩きます。 コンビニができたり、新しい住宅ができたりして、この辺りは開発が進んでいるようです。 ただ、それも最初だけで、後は溶岩と松の木ばかり。 まるで西部劇の荒野のような風景が、延々と続きます。 しかも、道路は一部の狂いもなく、いつまで経っても真っ直ぐです。 これは、精神的に結構辛いかも。

天候には恵まれて、青い空に白い雲が浮かんで、絶好の散歩日和です。 と言いたいところですが、吹き飛ばされそうなくらいに風が強いんですよ。 遠くでは、突風で砂嵐ならぬ灰嵐が舞い上がっていました。 途中、水の流れていない川を渡ったんですが、これは桜島が噴火した時に、溶岩や土石流が流れるためのもののようです。 この下流には、長渕剛のコンサート会場があるんですよ。

やっと溶岩道路が終わったぞ、と思ったら、何やら妖しげな建物を発見しました。 「お食事」「おみやげ」「特殊映像館」「ジエットコースター」と書かれたこの建物は、どうやら展望台のようです。 でも、良く見ると、この展望台、桜島生コンクリート(株)の敷地内にあるではありませんか。 これは一体どうなってるんだ? まだまだ先は長いので、謎を残したまま、展望台を後にしました。

桜島の歩き旅は、まだまだ続きますよ。

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