余韻

ときめきと、はかなさ。せつない、きもち。

新しいヘッドホン

今日、SONYのMDR-EX85SLというヘッドホンを買いました。

大学生の頃、ちょっとだけオーディオに凝っていたことがありました。 といっても、バラのコンポの安いのをちょっとずつ集めただけなんですが、今でもiMacに当時のアンプとスピーカーを繋げています。 ちなみに、どちらもYAMAHA製で、アンプはAX-570、スピーカーはNS-10MXです。 このスピーカー、今はなき天文館の馬場電機であれこれ試聴させてもらった時に、ボーカルの存在感にぶったまげて、惚れ込んで買ったんですよ。

貧乏学生だったので、節約に節約を重ねて、数ヶ月に一台ずつ買っていくという、涙ぐましい買い方をしていました。 最初に買ったのはオートリバースのカセットデッキで、次にCDプレーヤー、アンプと続きましたが、スピーカーは憧れのNS-10Mが高くて手が出なかったので、最初はmarantsの同軸スピーカーを買いました。 NS-10Mを買ったのはずっと後で、それも分割払いだったように思います。 あの時は、本当に嬉しかったなぁ。

とりあえず一通りのものが揃った後に、SONYのMDR-CD850という密閉型のヘッドホンを買いました。 これは別に惚れ込んで買ったわけじゃなくて、ただ店にあった中で手の届く範囲で一番高いものを買っただけだったりします。 ヘッドホンに1万5千円という値段は、私にとっては驚くべき高値でしたが、それだけの価値のある素晴らしい音でした。 でも、それから長い年月が経ち、イヤーパッドもすっかりボロボロになってしまいました。

それでも、イヤーパッドを裏返したりして使っていたんですが、先日、ミーちゃんが暴れた時に床に落としてしまい、ハウジングが割れてしまったんです。 パソコンでの作業に集中したい時にはよくヘッドホンを使っていたので、これは困ります。 そこで、これまた昔に買ったMDR-EX70というカナル型のヘッドホンを引っ張り出して使っていたんですが、低音の迫力はあるものの、音の分解力が低くて、もわ〜っとした感じなんです。

そこで、ネットで最新ヘッドホン情報を調べてみました。 予算が8,000円だとすると、密閉型ではATH-A500、カナル型ではMDR-EX90SLの評判が良いようです。 廉価版のMDR-EX85SLも、コストパフォーマンスはかなり良さそうです。 iMacを購入した時のポイントが6千円分残っていたので、とりあえずベスト電器に足を運びます。 すると、幸いにも試聴できるようになっていたので、あれこれ聴き比べてみました。

まずは、密閉型のATH-A500を聴いてみます。 分解能は高いようですが、音が固くて高音ががさつな感じがします。 上位機種のATH-A700を聴いてみると、音が一変して柔らかくなり、音の広がりも感じました。 さらに上のATH-A900も聴いてみたんですが、再び音が固くなっていました。 この中から選ぶなら、明らかにATH-A700が私好みですね。でも1万5千円は今の私には高すぎる!

インナーイヤー型の売り場には、MDR-EX90SLとMDR-EX85SLの両方とも置いてありました。 でも、試聴ができるのはMDR-EX90SLだけで、しかもiPodのビットレートの低い音源でした。 装着感は、閉鎖感がなくていい感じです。 分解能も高そうですが、ソースが悪かったので、はっきりとしたことまではわかりませんでした。 MDR-EX90SLは9,980円、MDR-EX85SLは4,980円。さあどうする?

MDR-EX90SLを買うなら、同じ値段のATH-A500を買った方が良さそうだ。 でも、ATH-A500を買うくらいなら、頑張ってATH-A700にした方がいい。 ただ、そうなると完全に予算オーバーで、今は手が出ない。 というわけで、MDR-EX85SLを買うことにしました。 これならポイント内に収まるし、もし失敗したとしても諦めがつきます。 後は、自分の耳で確かめるだけですね。

で、急いで家に帰って聴いてみたわけなんですが、これがもうビックリするくらいに音がいいんです。 MDR-EX70とはまるで比較にならないくらに分解能が高くて、それまでわからなかったいろんな音を聴くことができます。 さすがに、MDR-CD850にはかないませんが、低音のスカスカだったMDR-CD850よりも、音のバランスは良いようです。 こんな高性能のヘッドホンがたったの5千円で買えてしまうとは、本当に良い時代になったものです。

技術の進歩って、本当にすごいですね。

融けていく心

久々の太陽に誘われて、背中に温々とした日差しを感じながら歩いていると、道端に場違いな冷たい空気を感じました。 驚いて足元を見ると、側溝の網の上にたくさんの氷が捨てられていました。

すぐ横の雑草は、その冷気に生気を吸い取られながら、その地に根を下ろしたことを後悔するかのように、身を仰け反らせています。

氷達は、そんな雑草には目もくれずに、全身から冷や汗を垂らしながら、必死に苦しみに耐えています。 そして、白目を剥きながら、呪うように私に語りかけてきます。

「なあ、俺の人生って、一体なんだったんだ?こんなのってありかよ」

彼の冷めた声が、心に鋭く突き刺さります。

「俺は、生まれた時は、流れる水だったんだ。この涙のようにな」

彼は、流れ落ちる涙を拭くこともせず、がっくりとうなだれています。

「それが、型に流されたと思ったら、有無を言わさず氷にされちまった。 全く身動きは取れないし、本当に身も凍るような思いをしたんだぜ」

彼は、涙に映る自分の顔を見ながら、力なく笑いました。

「それでも、俺は苦労して氷になったさ。 こんな俺でも、氷になることでちょっとでも役に立つんなら、悪い気はしねえからな」

「それがなんだい、せっかく固まったと思ったら、今度はバラバラに砕きやがった。 俺の信念も、一緒に砕け散っちまって、後はもうどうにでもなれだ」

彼は、薄れゆく意識の中で、必死に過去をたぐり寄せようとしていました。

「そして最期は、用済みでポイさ。惨めなもんだろ、な。」

彼の心は、すっかり冷えきっているようでした。

「でもな、やっと役目から解放されて、元の流れる水に戻れるんだぜ、いいだろ」

網をくぐった先は、漆黒の闇の世界です。 でも、彼にとっては、自分らしくいられる、自由の世界なのでしょう。

彼の心は、透き通っていくにつれて、温かく融けていきました。

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