ニセモノ文化論

例えば、レトロブームなんかがそうだと思います。

いわゆる懐古趣味というのは、昔からありました。 でも、今では、レトロなテーマパークや博物館があちこちに出来て、レトロなバーや居酒屋なんていうのも珍しくなくなりました。 どちらかというと、私も懐古趣味があるほうなのですが、そういうレトロブームはどうも好きになれないんですよね。

懐古趣味というのは、昔を知っているかどうかでとらえ方が変わってくると思います。 昔を知っている人は、それをきっかけにして当時の思い出が蘇ってきますが、 昔を知らない人は、それを通して長い時間の流れを感じて、想像力がかきたてられます。

先日、私は昔通っていた小学校を20年ぶりに訪れたのですが、今も当時の町並みが残っていて、とても懐かしかったです。 もちろん、変わったところも多くありますが、当時よくザリガニを捕りにいった田んぼがまだ残っていたのは嬉しかったですね。

今は別の土地に住んでいますが、田舎なので、あちこちに古いものが残っています。 木造の民家も多く残っていて、ホーロー看板もよく見かけます。 古い市電が走っていたり、お婆さんが作る昔ながらの定食屋があったりして、 まるで過去にタイムスリップしたような気分になることもあります。

でも、レトロブームというのは、それらとは全く違います。 最初からそういう効果を狙ってデザインされた、全くの新品なのですから。 過去と現在の融合とか言うとカッコイイですが、悪く言えば上辺だけのニセモノなんですよね。 相手を騙すための擬態と言うと言い過ぎでしょうか。

もちろん、失われた日本文化を見直して、それをうまく新しいものに取り入れようという姿勢は素晴らしいと思います。 でも、それはもはやレトロではなくて、全く新しい文化だと言えるでしょう。 もしかしたら、レトロブームもレトロという新しい文化を作り上げたのかもしれませんが・・・。

まあ、実際には利用者もそこまで本物を求めていないということなんでしょうね。 いつもとちょっと違う雰囲気を味わえたら、それで満足なわけです。 私も、レトロなテーマパークや居酒屋の存在を否定するつもりはないんですが、そういう雰囲気を重視したものが多過ぎるような気がします。

そういう受け身の楽しさよりも、自分で何かを作った方が、ずっと楽しいのになぁ。 自分にとっての「懐かしいもの探し」をしたり、新しい「思い出」を作ったり。 そういうのこそが「ホンモノ文化」だと、私は思うのです。

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