ゴキブリという存在

昨日、バイト先で、ちょっとした騒ぎがありました。

私は、学生時代からずっと、温泉の浴槽掃除のバイトを続けているんですが、脱衣場掃除の女の子が、急に上を指さして慌て出したんですよ。 浴槽を掃除しながら見ていると、番台のお婆ちゃんが殺虫剤を持ち出して振りかけていました。 すると、何やら大きい虫が飛び出して、ロッカーの下へと逃げ込んでいきました。 後で話を聞くと、とても大きなゴキブリだったそうです。 あの大きさ、あの飛びっぷりは、間違いなくワモンゴキブリのワンちゃんです。

私の見ていた限りでは、ワンちゃんが女の子に突然襲いかかったというわけじゃなくて、ただ壁にへばりついているワンちゃんを女の子が見つけて、怖くなってお婆ちゃんに助けを求めた結果、お婆ちゃんのゴキジェットで御用になったようです。 女の子の反応も、お婆ちゃんの行動も、どこででも見かけるようなありふれたものですが、ゴキブリ写真を撮るようになった私としては、ちょっと寂しい光景でした。

もちろん、私も以前は同じような行動をしていたので、彼女達の気持ちは良くわかりますし、それを責めるつもりはありません。 ただ、そこに何やら意味深いものを感じるんですよね。 これといった危害を加えるわけでもなく、ただそこにいるというだけで、嫌悪感の対象になって駆除されてしまうゴキブリ。 ああ、憐れなゴキブリ。この嫌悪感は、生まれつきのものなのか、それとも後から植え付けられたものなのか…。

ゴキブリは、生態系の中では分解者という役割を担っています。 洞窟は、コウモリの絶好のすみかとなり、地面にはその糞が蓄積されていきます。 そして、その糞の中では、それを餌とする大量のゴキブリが生息しています。 その後には、ゴキブリの糞を餌にする無数の微生物が待ち構えています。 つまり、ゴキブリは病原菌を媒介する可能性があるわけで、その危険を避けるために、嫌悪することを本能づけられているのかもしれません。

でも、時代は変わり、そこまで不衛生な場所は、一般家庭にはなくなりました。 ただ、分解者としての役割は健在で、台所の生ゴミを虎視眈々と狙っては漁っています。 どれだけお洒落で便利なシステムキッチンでも、最先端のオール電化のIHキッチンでも、ゴキブリは容赦せずにやってきます。 どんなに人間が台所を綺麗にしても、そこに餌がある限り、ゴキブリは自分の使命を全うしようとやって来るのです。

私も、部屋に湧くゴキブリにずっと困っていたんですが、彼らにカメラを向けた瞬間に、その存在がガラリと変わったんです。 それまで、嫌悪するもの、駆除するものだった存在が、観察するための、理解するための存在になったんです。 すると、不思議なことに、それまでの嫌悪感はさっと消えて、まるで友達のような親近感が出てきたんですよ。 今も、キーボードの横では、チャバネゴキブリの幼虫が、触覚の手旗信号で、私に何かを訴えています。

「地球に優しく!環境を守ろう!」という人達は、森の木々や動物達を、まるで可愛いぬいぐるみのように語ります。 まるで、洒落た雑貨屋の小物達のように扱います。 もちろん、そうじゃない人もいますが、そういう人がいることも確かです。 でも、それは偏見です。 偏見は、悪い見方をするだけじゃなくて、都合の良いように、物事を美化するのにも使われるのです。 現実は、偏見などお構いなしに、現実として存在しているのです。

綺麗なものは、誰だって大切にします。問題は、嫌いなものを、どうやって理解するかですね。

俺はワモンゴキブリだぜぇ

そう、来る者は拒まず。早速、有言実行だ!

晩ご飯の鳥はむカレーを食べ終え、洗った食器を片付けていると、突然、大きな虫が窓から飛び込んできました。 おおっ、これは大きい!カナブンよりも大きいぞ!もしかしたらカブトムシ!? ブーンと羽音を響かせながら着地したそいつは、何とワモンゴキブリじゃないですか! おお、ワンちゃん、ついに来てくれたんだね! 私は大喜びで、急いでカメラを取り出して構えます。

ところが、このワンちゃん、とにかくもう飛ぶ飛ぶ。 図体がデカイだけに、その飛ぶ姿はかなりの迫力です。 窓の簾から反対側の壁に飛び移り、今度は机の上に飛び移ります。 パソコンの上でモゾモゾしていたかと思うと、今度は奥の方へと歩いていきます。 私もカメラを構えたまま、後を追いかけます。 うわっ、また飛んだ! 天板の上でやっと落ち着いたので、じっくりとその姿を観察します。

ワモンゴキブリは、一般的なクロゴキブリよりも一回り大きくて、背中に白い輪っか模様がついています。 つまり、輪紋ゴキブリというわけですね。 色は褐色で、足にはカブトムシのようにトゲトゲがついています。 首が良く動いて、その様子は何だかスズメバチのようです。 そう、ゴキブリというと害虫のイメージですが、このワモンゴキブリは昆虫のイメージに近いんですよ。 せっせと触角の手入れもしてるし、案外綺麗好き?あ、ウンコしやがった!

試しに、ブロアーで空気を吹きかけてみると、身を強ばらしながら隅の方へと逃げていきます。 すぐに飛び出すかと思ったんですが、意外と臆病なんですね。 今度は、定規でお尻を突いてやると、うわ、飛んだ〜!きゃ〜、こっちに来る〜! あれ、見失ったぞ。どこにいった?げ、お尻にくっついてる!ひゃあ、助けて〜! その後、何とか鉄アレイの間に逃げ込んだワンちゃん。 今度はミーちゃんに追われる立場になったのでした。

こうして追っかけてみると、大きなワモンゴキブリも可愛く思えてくるから不思議です。

Cockroach and Spider

蜘蛛写真にゴキブリ写真、あなたはどう感じましたか?

実はこれ、私なりの「Ashes and Snow」なんです。 なにを!あの崇高な芸術と一緒にするな!そうよ!象とゴキブリじゃ比べものになんないわよ! そんな人は、ぜひ「ジェイクの驚き昆虫記」を観てくださいね。 私は、残念ながら本物のAshes and Snowを観ることができませんでしたが、そのWebサイトは全部目を通しました。 確かに、芸術作品として、ものすごいパワーを感じますが、どうも腑に落ちないところがあるんですよね。

前に、「千と千尋の神隠し」を観た時にも、同じような気持ちになったことがあります。 映像は素晴らしいし、その主張ももっともだけど、どこかずれてる、あるいはすり替えられてるような気がするんですよ。 グレゴリー・コルペールのビジョンを読むと、写真が全くの無修正であるかのように書かれていますが、デジタル処理はしていなくても、アナログ処理やキリスト教の観念が加えられていることは一目瞭然です。

芸術は美を追求するもので、そこから得た感動は、素直に受け取っておけば良いわけですが、作品への賛辞と、その主張への賛同は、似ているようでやっぱり違うと思うんですよね。 Ashes and Snowの舞台になった場所の子供達は、きっと本当に、地元の野生動物達と一緒に遊んでいることでしょう。 でもそれは、日本の子供達が、近所の蝉やザリガニを捕まえたりするのと、全く同じことなんですよね。

そして、私が蜘蛛やゴキブリと同居しているのも、それと同じことなんです。 象やチンパンジー、蝶や蛍は良くても、蜘蛛やゴキブリはどうして駄目なの? 共存することや、あるがままに受けとめる心が大切だって言うなら、みんな一緒じゃないか。 どうして、そうやって都合の良いように差別するんだよ。おかしいじゃないか。 結局、芸術っていうのは、ただの綺麗ごとかよ。

いやいや、そういうわけじゃなくて、綺麗なものの方が、より訴求力があるからじゃないの? 確かにそうかもしれないけど、共存をテーマにするんだったら、綺麗じゃないものも入れてやらないと、バランスが悪いんじゃない? おいおい、それじゃあ美術にならないじゃないか。だって、芸術は科学じゃないんだぜ。 芸術作品は図鑑とは違うのだよ。 な〜んだ、それなら俺は図鑑の方が好きだな。

でも本当は、実物の方が、ずっとずっと好きなんだな。

クロちゃん、お食事中♪

もぐもぐもぐ、僕は何だって食べちゃうよ。エライでしょ。


運良く、クロゴキブリが明るい場所に出てきたので、ちょこっと撮ってみました。

ゴキブリは、結構人見知りが強くて、人の気配を感じると、お尻をフリフリ急いで逃げていきます。 でも、このゴキブリは、私が近寄っても、逃げずにじっとしていました。 これはチャンスだ!というわけで、何枚か撮らせてもらいます。 彼は、微動だにせず、なかなかのモデルっぷりです。 ん、背中にしょっている白いのは、もしかしてミーちゃんの毛? おお、これはまさに共存の図じゃないか!

というわけで、彼をクロゴキブリのクロちゃんと命名しました。 実はこのクロちゃん、数日前から部屋の中を行ったり来たり。 気にはなっていたんですが、別に悪さをするわけでもなし、無理に退治することもあるまいと、放ったらかしにしていたんです。 これが、ワモンゴキブリのワンちゃんだったら良かったのにな〜、なんて思いましたが、そう贅沢は言えません。 今は、クロちゃんを愛でることにしましょう。

クロちゃんが食べているのは、麦茶バックの残りカスです。 水出しした後ですぐに捨ててしまうと、水分が多いので蛆がわきやすいんですよね。 そこで、窓際で乾かしてから捨てるようにしているんですが、その時に袋が破けて中身がちょっとこぼれてしまってたんですよ。 クロちゃんは、それをちゃっかり見つけて、モリモリと美味しそうに食べています。 もう、カメラをいくら近づけてもお構いなしです。

食事というのは不思議なもので、初対面の人でも、食事を共にすると、次第に仲良くなるものです。 最初は腰の引けていた私も、クロちゃんの満足げな食事風景を見ているうちに、だんだんクロちゃんが可愛く思えてきました。 良く見れば、ゴキブリもカブトムシも似たようなものだな。 長い触角も、なかなかイカすじゃないか。 珈琲のように艶やかでコクのある褐色は、なかなか味わい深いものがあります。

ゴキブリって、とっても怖いイメージがありますが、実際にゴキブリが人を襲うことなんてないんですよね。 たまに飛んだりすることありますが、それは襲うつもりじゃなくて、人から逃げようと慌ててるだけなんですよ。 汚らしいと言う人もいますが、ゴキブリが病原菌を媒介することは滅多にないそうです。 ゴキブリは、ただ自分が生きるために、餌を探して食べてるだけなんですよね。

わざわざ餌を与えることもありませんが、これくらい大目に見てあげましょうよ。

僕、クロちゃん、よろしくね!

僕、クロゴキブリのクロちゃん。みんな、仲良くしてね!

蜘蛛とゴキブリとミーちゃん

今日、台所で大きな蜘蛛を見つけました。

この大きな蜘蛛は、アシダカグモといいます。 手のひらほどの大きさで、なかなか迫力があります。 調べてみると、主食はゴキブリだそうで、まるまると太った姿に思わず納得。 大きな蜘蛛は家の守り神だと言われますが、こういうところに理由があるのでしょうね。 私の部屋では、小柄なハエトリグモを良く見かけますが、隅の方に一匹だけユウレイグモがひっそりと網を張っています。

昨日は、同じく台所で、大きなゴキブリを見ました。 一般的なクロゴキブリよりも一回り大きな、体長6cmほどのワモンゴキブリでした。 写真を撮ろうとしたんですが、夜で暗かったので、AF補助光が光ってしまい、ワモンゴキブリは驚いて逃げていってしまいました。 部屋には小型のチャバネゴキブリがたくさんいて、あちこちを走り回っています。 夜中に便所に行こうと電気をつけると、わっと逃げ惑うゴキブリ達の姿を見ることができます。

小学生の頃、大学生の従兄弟に映画に連れて行ってもらったことがあります。 その映画は、「風の谷のナウシカ」。その内容は、とても衝撃的でした。 ナウシカの優しさと力強さに惚れて、パンフレットを枕の下に敷いて寝たくらいです。 そして、これからは虫を大切にしよう。蚊一匹も殺さないぞ。と誓ったものです。 その後、数えられないくらい蚊を殺してきたわけですが、その度にナウシカのことを思い出して、ちょっぴり胸が痛みます。

蚊だけじゃなくて、蠅もたくさん殺しました。 蜘蛛も、ゴキブリも、たくさん殺しました。 でも、最近はあまり殺さなくなりました。 あまりにチャバネゴキブリが多いので、ゴキブリ用の毒餌を買ったこともありましたが、全く効果はありませんでした。 一匹ずつ見つけては潰したりもしましたが、次から次へと生まれてくるので、きりがありません。 別にナウシカが恋しくなったわけじゃなくて、無駄な抵抗はやめることにしたんです。

不思議なもので、一度そうやって決めてしまうと、あんまり気にならなくなっちゃうんですよね。 むしろ、元気に活動している様子を見るのが楽しみなくらいです。 そして、それぞれの虫の名前がわかるようになると、愛着すら湧いてくるんですよ。 ゴダイゴが「呼びかけよう名前を〜♪素晴らしい〜♪名前を〜♪」と歌ってますが、まさにそんな感じですね。 名前の力ってすごい!まさにモンキーマジック!

ミーちゃんは飼い猫なので、私が餌をやったり、トイレの世話をしてあげなければなりません。 でも、蜘蛛やゴキブリは、別に飼ってるわけじゃないので、わざわざ餌を与えたりはしません。 それでも、ちょっとした食べこぼしや生ゴミなんかを見つけて、しっかりと食べています。 蜘蛛やゴキブリは、ミーちゃんのように餌をねだったり、トイレの砂を替えてくれと訴えたり、遊んでくれと擦り寄ってきたりもしませんが、一緒に住んでいる仲間なんです。

共存するっていうのは、そういうことじゃないのかなぁ。

侵入者警報発令中!

シンニュウシャ、アリ。タダチニ、セントウタイセイニ、ハイレ!

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